かなし子に おくる里いも

 急にまた寒くなり、コロナウイルスだけでなく、風邪にも注意しなければならない。

 昨日、沖永良部の従弟からジャガイモが送られてきた。この時期、いつも送ってくれる。早速、電話でお礼を言った。電話の向こうの従弟の声は、誠実な響きで彼の性格をよく表している。連れ合いは夜、コロッケを作ってくれた。近くに住む義弟一家の分も作った。人数が向こうがはるかに多いから大変だ。

 そういえば、祖父(1882.2.3?~1984.10.21)も伯父(1913.12.13.~2001.5.14)も温かい心と誠実さを持っていた。祖父・友一は1975年5月の私宛の手紙で、私の双子の姉の結婚式に参加できないことを悔やんで、式で歌うように書いてよこした。千昌夫の「星影のワルツ」のメロディーでとのことだった。4番まで書いてくれたが、1番だけ紹介する。

一度限りの人生だ 大事にしようよこの命

二人が幸せをワルツで歌う

この世に生まれた幸せを この世に生まれた幸せを

明るく楽しく生きようよ

 祖父が結婚式に参加したら、きっと三味線の音に乗せて歌ってくれただろう。永良部の人を含め奄美・沖縄の人達は即興でメロディ・歌を作っておもてなしをしてくれる。祖父は長女が生まれた年の1973年11月に、徳島に遊びに来てくれた。鳴門・鳴門大橋・屋島・琴平などを案内した。

 伯父(明俊)も歌を作る。水戸に住む長女が生まれた年、里いもを送ってくれたが、その中に段ボールの切れ端に短歌が書かれていた。

かなし子に おくる里芋 まづけれど 土もつきおり 思ひ(うみ)がてにせむ

 意味は、「かわいい子どもに送る、ふるさとの里芋はおいしくはないけれども、土もついている。この里芋を食べたら沖永良部のことをいとしいと思い出すことだろう。」

 「かな」は長女の名前である。毎年、徳島からスダチを送っていて、こう歌ってくれた。

君が香も包みて阿波のすだちかな

 従弟からじゃがいもが届くと、必ず私たちを大事にしてくれた祖父・伯父のことを思い出す。

 我が家の裏にある阿波高校の桜も咲きだした。コロナウイルス影響で早くから休校になり、いつもは聞こえる元気な野球部の掛け声もなく静かだ。

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良寛歌集(東洋文庫556 平凡社

546 人問はば乙子の森の木の下に落葉ひろうて居ると答へよ

547 冬がれのすすき尾花をしるべにて尋(と)めて来にけり柴の庵に

548 木の葉のみ散りにちりしく宿なればまた来む折は心せよ君

549 あしひきの山田の田居に鳴く鴨の声きく時ぞ冬は来にける

550 夜をさむみ門田の畔(くろ)に居る鴨のいねがてにする頃ぞありにける