B型肝炎訴訟裁判傍聴、「虚偽自白を読み解く」(浜田寿美男 岩波新書)

 昨日(24日)は大阪地裁にB型肝炎訴訟の傍聴に行った。今回の和解は59名(被害者数)であった。弁護団の意見陳述では、全国B型肝炎訴訟弁護団に所属する原告数は全国で22,682名、大阪地裁関係では4,250名で、全国弁護団を通じない提訴を含めると65,000名で、厚労省が推定する被害者数約45万人の14%にしか過ぎない。

 原告の意見陳述は2名で、いずれも遺族原告で被害者の無念さを十分に語るものであった。原告番号4,844番の女性は、母親が予防接種による感染で、彼女も母子感染しており、現在はキャリアの状態である。そして彼女の二人の弟も感染しており、肝がんになっている。

 彼女はこう語った。「昨年弟二人がガンになったことで、娘や夫には『私もいつまで生きられるかわからない』という話をします。まだ若い娘やあっけらかんとした夫は『そんなわけないやろ』と呑気に受け止めています。その呑気さが、私にとって救いでもあります。」

 国の予防接種に対する政策の怠慢が、多くの国民を不幸に陥れていることが理解される意見陳述であった。

 しかし、阿波市にある私の家から、高速バスに往復6時間あまりも乗って日帰りで行くのは大変だ。

 2月16日(日)にはあわぎんホール(郷土文化会館)で、午後1時から無料のB型肝炎訴訟の相談会が行われる。ご自身やお知り合いが予防接種によりB型肝炎に感染しているかもしれない方は、ぜひ来ていただきたい。弁護士が親身になって相談に応じてくれる。

 「虚偽自白を読み解く」(浜田寿美男 岩波新書)を読んだ。なぜ無実なのに虚偽の自白を行うのか、えん罪がかくも多くはびこるのかが理解される内容である。著者は守大助さんの事件についても仙台地裁に意見書を提出している。意見書ではこう書いている。

 「いくら弁明しても聞き入れてもらえないという弁明不能感が虚偽自白の大きな要因であることが一般にあまり知られていない。しかし実は、これだけでも無実のものが自白に落ちる可能性は小さくない。」

 「証拠は事実認定によるというその部分を、できるかぎり見えるかたちで記録する努力、つまり捜査の可視化が必要である一方で、取調べや事情聴取の場におかれた人々の心理過程を正確に認識するための心理学的理論を確立すうる努力が求められなければなるまい。」

 警察・検察・裁判所で仕事をしている者にとって、著者が言うようなことをしっかり学ぶ(研修項目として義務づける)ことの必要性を実感させられた。

f:id:tetuo0208:20200125110758j:plain

●仙台北陵クリニックえん罪事件の守大助さんへのご支援を!

B型肝炎訴訟は全国B型肝炎訴訟弁護団にご相談を!

良寛歌集(東洋文庫556 平凡社

456 露ながら手折りてぞ来し萩の花いつか忘れむ君が心を

457 秋萩の枝もとををにおく露を消(け)たずにあれや見む人のため

458 白露に咲きみだれたる萩が花錦を織れる心地こそすれ

459 飯乞ふとわれこの宿に過ぎしかば萩の盛りに逢ひにけらしも

460 飯乞ふとわれ来にけらしこの園の萩のさかりに逢ひにけるかも