コロナウイルス、「中国の牡丹」(1982年3月 美乃美社)

 2か月ほど更新を休んでいたが、体調が悪かったわけではない。  

 コロナウイルスの蔓延で、多くの日常生活が困難に陥っている。徳島県の昨日(3月3日)のコロナの発生数は324人。累計で11,762人で死亡者数は74人となった。感染者数は20歳代・40歳代が多いが、死亡者数は80歳代が圧倒的である。

 学校への影響も大で、県下の休校数は36校に上る。小学校23校、中学校5校、高校8校となった。我が家の孫たちも休校で、家に閉じこまされている。ストレスを発散するためか、紙飛行機をたくさん作って飛ばしている。おかげで書斎は飛行機だらけとなった。今朝、数えてみたら132機だったが、さらに作っている。これでストレスが発散されればいいとしよう。近頃は百均で安くに買えるのでたくさん買ったのだろう。落ち着いて書斎でパソコンに向かうこともできない。

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 「中国の牡丹」(中国カラー文庫第11巻 美乃美社 1982年12月)を読んだ。

 牡丹は中国では、菊や梅などと一緒に最も親しまれている花である。古くから、「富貴」「繁昌」のシンボルとされていた。したがってそれらとは無縁の我が家は、一度育てたことがあるがすぐに枯れてしまった。中国の牡丹栽培の歴史は古く、西暦前2世紀には「神農本草経」に出ていたというのだから感心する。

 本書には唐の玄宗皇帝が詩人・李白に命じて詩を作らせた、牡丹に楊貴妃を似せて作った詩「清平調詞三首」が紹介されていた。この詩は大変有名で、李白の詩を紹介するときには、必ずと言っていいほど出てくる。しかし、楊貴妃の艶麗な姿を連想させるものなので、中国の子ども向けの詩集には出てこない。牡丹と李白は切っても切れない関係にある。

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 本書に掲載された詩の訳を見たので、わが師松浦友久先生の「李白詩選」(岩波文庫 1997年1月)を探して見た。するとまったく一緒であった。思うに、先生の著書から借りたらしい。「その一」だけを紹介する。

雲には衣装を想い 花には容(かたち)を想う

春風檻を払って 露華濃やかなり

若し群玉山頭に 見るに非すんば

会(まさ)に 瑤台月下に向かって逢わん

 どうも、これだけでは理解しにくいので、「李白詩選」にお願いしよう。

美しい雲は貴妃の衣装のよう、美しい花は貴妃の容貌(かんばせ)のよう

春風は欄杆(らんかん)を吹きわたり、夜露は濃(こま)やかにきらきらと輝く

ああ、こんな素晴らしい美人には、あの“群玉山”のほとりでか、

“瑤台”の月光のなかでしか、めぐり逢えないだろう。

群玉山:不老不死の仙女、西王母の住む伝説上の仙山。

瑤台:神仙の住むという土地。

清平調:唐代に作られた新しい音楽の曲調。李白の詩は、それに合わせて歌われた。

 当時の曲調で聞きたいものだ。そこで思い出したのが中国旅行にったとき買った李白の詩のCDであった。聞いてみたが、もちろん当時の曲調ではない。「月下詩酒」(李白詩歌欣賞)で46首が歌われている。2008年9月発行で値段は19.8元であった。現在、1元は16円ぐらいなので320円ぐらいか。

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