全国B型肝炎訴訟大阪原告団総会、「漱石の夏休み」(高島俊男)、「証言 沖縄スパイ戦史」(三上智恵)

 昨日(22日)は、大阪で全国B型肝炎訴訟大阪原告団総会があったので参加した。徳島からは私1人の参加であった。徳島からだれも行かないというのは「一寸」という感じがしたので、勇気を奮って行ってきた。この時期いつもは5便あった井川~大阪行きの高速バスは、2便しかない。それも日曜日だというのに乗客は10人余りしかいない。

 大阪に着いてレストランで食事をとったのだが、食事が運ばれてくるまでの10分ほどの時間、ガラス越しに外を見ていると、やはり大阪、人通りは並大抵ではない。6~7百人はいただろうか。皆さんほとんどマスクをしていた。暇だから数えてみたのだが、マスクをしていなかったのは男性ばかり6名であった。この日大阪では感染者が490人もいた。全国一の発生率であった。

 総会も例年よりは参加者が少なかった。1時半からの総会は、活動報告・活動方針・会計決算・来年度予算・役員を決めて、3時過ぎには終了した。

 帰りに梅田の紀伊国屋書店に立ち寄って、文庫本ばかり3冊買った。「本が好き、悪口言うのはもっと好き」(高島俊男)、「十五年戦争小史」「(江口圭一)、「泣き虫弱虫諸葛孔明 第5部」(酒見賢一)であった。「泣き虫弱虫」は最終巻であるが、それまでの巻もまだ読んではいない。全5巻で3,078頁もの大作だがいつ読もうか。

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 「漱石の夏休み」は、夏目漱石が学生時代夏休み房総地方に旅した時のことを書いて、正岡子規に送ったものである。元は「木屑録」(ぼくせつろく)と題されている。明治22年(1889年)、夏目が23歳の漢文紀行である。今私たちが苦労して習っている漢文のように「返り点、一、二」などがない。この漢文訓読法には皆さん泣かされた。わからない方が当たり前である。世界中、文字は前から後ろに読んでゆく(日本語もその通り)のに、無理やり訓読法で読まされるのだから、地獄である。

 明治初期の知識人にとって、漢文を読み理解することは必須の教養であった。書けて読めて当然。

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 これが「木屑録」の書き出しの部分である。私が習っている中国語の先生も難しいと言っていた。著者は、その「木屑録」を分かりやすい日本語に直して、漱石の文章の誤りや正岡との交流などを解説してくれている。

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 前から2・3行目が書き出しの部分。6行目から10行目が訓読法による読み下し文。非常に格調が高い(?)文章である。しかし著者は後ろ1行目~5行目が、江戸っ子調の夏目の真意を伝えることができると言っている。「吾輩は猫である」である文章に近いのである。納得!!!

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 「証言 沖縄スパイ戦史」は集英社新書で、著者は三上智恵。これも本が立つほどの大著で750ページもある。彼女は徳島県母親大会にも講師としてやってきた。帯には「証言と追跡取材で迫る、青年将校の苦悩と少年兵が戦った沖縄戦、最暗部の記録」とある。沖縄は日本で地上戦が行われた唯一の場所である。15歳前後の若者が、少年兵として駆り出され多くの方が亡くなった。彼らを指導・監督したのが、陸軍中野学校出身の青年将校であった。少年兵はゲリラ兵として教育され、一途に日本の勝利のため働き、亡くなった。沖縄の人たちは日本軍に協力しながらも、アメリカ軍が上陸するとスパイ扱いにされてきた。日本軍に殺された島民も多数いるし、海に身を投げて死んだ島民、無理やり投げ捨てられた島民もいる。また貴重な食料を日本軍に奪われてもいる。

 生き残った元青年将校や少年兵たちに、心を寄せて証言を引き出し、沖縄戦の非道理、日本政府の非道理を明らかにした。今、何故、沖縄県民が辺野古基地建設反対、アメリカ軍基地の退去を求めているかが理解される内容であった。どこの国の軍隊も、相手国を打ち破り戦争に勝つには、軍事基地を攻めるのは当然である。20万人余りの犠牲者を出した、沖縄の人たちの声を自公政権は聞くべきである。

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良寛歌集(東洋文庫556 平凡社

826 いつまでも朽ちやせなましみ仏の御法(みのり)のために捨てしその身は

827 あらがねの土の中なる埋れ木の人にも知らでくち果つるかも

828 いにしへにありけむ人もわが如(ごと)やものの悲しき世を思ふとて

829 世の中におなじ心の人もがな草のいほりに一夜語らむ

830 同じくはあらぬ世までも共にせむ日は限りあり事は尽きせじ