10月6日の日曜日は、地域の「道つくり」があった。皆さん手に手に清掃用具を持って道路や神社の草刈りをした。その後、神社の境内で消防署職員の指導を受けて、消火器を使って、消火訓練を全員が行った。消火器を取って実際に訓練すると、いざというときに落ち着いてできるだろう。
帚木蓬生の「蠅の帝国」「蛍の航跡」(新潮文庫)を読んだ。今までに読んだ彼の本は、「賞の柩」「カシアスの舞い」「臓器農場」「閉鎖病棟」「アフリカの蹄」「空の色紙」「空夜」「受精」「安楽病棟」。この2冊は5年前に購入して、積読であった。
「蠅の帝国」の帯には「東京、広島、満州、樺太 戦時を生き抜いた医師たちの慟哭」とあり、「蛍の航跡」には、「シベリア、ビルマ、ニューギニア 極限の状況で医師に救える命はあるのか?」であった。日本がかつて行った戦争は、日本人にも日本軍が侵略した地域の外国人にもまったく非人道的で、評価のしようのないものであった。そのような戦争に軍医として従軍した主人公たちには、まともな医療などする術がなかった。人間性を失いそうな極限状況で、兵士たちも軍医たちも生きてきていた。多くの兵士たちが命を落としてきた。多くの事実に基づいた資料を使って書かれた2書は、敵愾心をあおり、歴史を歪曲している安倍政権の嘘がはっきりと理解される。
「蛍の航跡」の最後の「蛍」には短歌が出てくる。文章の終わりの2首。
「戦場に蛍を詠みしもののふは蛍のごとくみまかりにけり」
「いくさ終へまなこ閉じればみまかりし野波中尉の蛍の航跡」
私の義父も中国の「中支」に出征していた。戦後、数年たってようやく復員した。晩年は短歌と水墨画に親しんだ。義父が歌集を作るというので、編集を手伝った。2004年6月に「光十字に」という歌集が出版された。その中に「戦陣抄」と題して105首が収められている。
その最後に収められた歌がこれである。
「戦争はすべきに非ず人をして鬼となさしむ兵も将をも」
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335 秋の野(ぬ)の花の錦の露けしやうらやましくも宿る月影
336 あしひきの国上(くがみ)の山の松かげにあらはれいづる月のさやけき
337 わが宿ののきばにうゑし芭蕉葉に月はうつりぬ夜は更けぬらし
338 降る雨に月の桂も染まるやと仰げば高し長月の空
339 うち群れて都の月を見つれどもなれにし都ぞこひしかりける