「世界の果てのこどもたち」(中脇初枝・講談社文庫)、月下美人

 暑かった夏もそろそろ終わりかけ、朝晩は涼しくなってきた。猛暑で花を咲かせなかった、月下美人や満月美人、十三夜美人、姫月下美人も、毎晩のように2、3輪咲くようになってきた。9月中旬から10月下旬ごろまで、これからは一株に何輪も咲くだろう。小さなつぼみがたくさん見られる。

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上から、満月美人のつぼみ、満月美人、月下美人

 「世界の果てのこどもたち」(中脇初枝講談社文庫)を読んだ。以前、同じ作家の「神に守られた島」(講談社)を紹介した。両親の生まれ故郷の沖永良部島での戦争と子どもたちを扱ったものであった。今回は、3人の女の子が戦争とどうかかわってきたかが書かれている。小さな自分の命をどのようにして守ってきたか、大人たちはどうだったのか。満州で出会った3人(貧しい山村の農家で生まれ満州で買われて中国人として生きてきた子、朝鮮人満州に暮らし戦後は日本で差別を受けながらもたくましく生きてきた子、裕福な家の子だったが両親・近しい人を戦争で亡くし一人で生き抜いてきた子。)がそれぞれが出会った戦争の中でも、満州での出会いが生きる糧になっていることが描写されている。本の帯には「73年前、大人たちは戦争をしていた。でも、わたしたちはずっと、友達だった。」と書かれている。

 今の日本。中国・韓国との関係は悪化するばかりである。過去の歴史をきちんととらえ、二度と3人の子どもたちが強制された苦しみ悲しみを次世代に与えてはならないのが大人の責務だと考える。その点でも先日の母親大会全体会で講演した冨田宏治さん(関西学院大学教授)の最後の「安倍政権を変えなければならない」という言葉が大事だと考える。

 作家は日ごろ「障害者」と慣用されている語について、「障碍者」と表記している。「角川最新漢和辞典」(角川書店)によれば、「害」の意味は①そこなう、きずつける、こわす。②さまたげる、じゃまをする。③わざわい、災難、さわり。④守りやすく、せめにくいところ、とあり、現代表記では「碍」の書き換えに使う、としている。一方で「碍」は、さまたげる、じゃまする、さまたげ、じゃま、としている。碍の語には害の③の意味はない。しかし、受け取る側にはマイナスイメージの③の意味が主だと取ってしまうのではないか。障碍者にとってこれほど不当な語はないと思う。作者が子どもを見る目同様に障碍者を暖かく見ていることが理解される。

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良寛詩集(東洋文庫556 平凡社

309 里子らの吹く笛竹もあはれきくもとより秋のしらべなりせば

310 虫は鳴く千草は咲きぬぬばたまの秋のゆふべの過ぐころもをし

311 思ふどち門田の畔(くろ)に円居して夜は明かしなむ月の清きに

312 月よみの光を待ちてかへりませ山路は栗のいがの多きに

313 月読の光を待ちてかへりませ君が家路は遠からなくに